柱や梁、小屋組などの土台敷き以降、上棟まで(建て方)の注意点とチェックポイントです。
まずは柱からです。使用されている柱等の部材が設計図書の通りであるか、寸法などを確認します。そして、通し柱や管柱などが設計図書通りの位置に施工されているか確認します。梁や桁などの横架材も同様に設計図書と間違いないか確認していきます。
次に、施工品質のチェックです。柱が垂直か確認したり、土台や梁などとの接合部の金物が適切なものか、適切に取り付けられているかを1つ1つ確認したりしていきます。金物に隙間があるなど緩んでいる箇所があれば、しっかり留め直してもらいます。
材料の確認、図面との照合、施工品質の確認がセットです。そして、できればJAS規格やF☆☆☆☆の確認も行いましょう。これらの確認は、柱や梁以外にも桁や胴差、小屋組でもしっかりチェックが必要です。
金物の種類は多く、一般の方が理解するのは難解です。間柱等と横架材を留める「かすがい」、柱の下端を土台などに留める「柱脚金物」、柱の上端を梁などに留める「柱頭金物」、他にも「羽子板ボルト」や垂木と母屋などを留める「ひねり金物」などがあります。これらの金物が適切な位置にあり、適切に固定されているか確認する必要があります。
また、木材の含水率も確認しておきたいところです。天気や養生の仕方次第では、柱などの材料が雨に濡れてしまうこともありますが、多少のことであれば乾燥するので問題ありません。しかし、あまり多く濡れるようでは心配もあります。そのようなときは含水率を計測して確認しておくと良いでしょう。
そして、防腐措置と防蟻措置の確認もしましょう。防腐・防蟻措置は地盤面から1mの高さまで策材を塗布しているかチェックします。現地で塗布する薬剤はカラーが付いていることが多いので目視確認できますが、カラーが付いていない場合は目視ではわかりません。この場合は施工者にヒアリングするなどして確認しましょう。
防腐・防蟻措置は、求めるレベル(仕様)によっては、柱等の使用材料や外壁通気工法の場合には、実施していないこともありますが、ほとんどの住宅で実施されているはずです。
最後に、小屋組では、雲筋交いや小屋筋交い、火打ち梁の設置状態や数量、垂木の状態も確認しなければなりません。野地板は、釘のピッチが150mm間隔であるか確認しましょう。主な構造部や大事な金物を確認できる機会ですから、第三者の住宅検査の利用も考えましょう。
チェックポイント
柱
- 通し柱の位置・通し柱の垂直度
- 隅柱の補強
- 土台との接合(割れ・隙間・ねじれ)
- 横架材との接合(割れ・隙間・ねじれ)
- 金物の状態
- 欠込み部の補強
- 防腐措置・防蟻措置(塗布回数・塗布範囲)
- 含水率
横架材 : 梁(はり)
- 構造耐力上支障のある欠込み
- 仕口や継手の位置・接合方法・接合状態
- 金物の状態
- 含水率
横架材 : 桁(けた)
- 構造耐力上支障のある欠込み
- 仕口や継手の位置・接合方法・接合状態
- 金物の状態
- 含水率
横架材 : 胴差(どうさし)
- 構造耐力上支障のある欠込み
- 仕口や継手の位置・接合方法・接合状態
- 金物の状態
- 含水率
小屋組
- 雲筋交いの設置状態・雲筋交いの振れ止め
- 火打ちの設置状態
- 垂木の緊結方法・垂木の状態
- 仕口や継手の位置・接合方法・接合状態
- 金物の状態
- 野地板の状態