住宅の新築工事前に行われる地盤調査とは、住宅をしっかり支持できる地盤であるかどうか調査するもので、地盤調査の結果次第では地盤改良工事(地盤補強工事)を行うことになります。地盤調査では、地面からの深さごとの地質や地盤の固さを調査して、それをまとめた報告書を作成します。この報告書を地盤調査報告書や地質調査報告書などと言います。
地盤調査の方法には種類がありますが、住宅建築前の地盤調査の場合にはスウェーデン式サウンディング試験かボーリング貫入調査(試験)のいずれかを用いることが多く、とくにスウェーデン式サウンディング試験(略してSS試験)が用いられることがより一般的です。
上の写真がSS試験の様子で、人力で調査するタイプです。
こちらも同じくスウェーデン式サウンディング試験の様子ですが、こちらは自動式です。スウェーデン式サウンディング試験とは、スクリューを地中へ貫入させていきますが、貫入時の荷重や回転数から地盤の固さを調査します。
ボーリング貫入調査(試験)とは、ボーリングで地中を掘削して孔をあけ、そのなかで地盤の固さを調査します。スウェーデン式サウンディング試験は簡易的なものと言われますが、ほとんどの住宅の地盤調査ではこちらが採用されています。
建物は、基礎や土台、柱、梁などの主要な構造部分が大事であることは多くの方が理解されておりますが、この建物を支えている地盤が軟弱であってその対策をしていない、もしくは対策が不十分であれば、地盤沈下が起こってしまい、せっかく建物の工事品質が高くても建物が傾いたり、基礎や壁にひび割れが生じたりすることがよくあります。
よって、これから住宅を新築する方は、建物の工事品質だけではなく、地盤についても十分に注意すべきでしょう。
河川や池の近くの土地や以前に田や畑だった土地では、地盤が弱いこと(軟弱地盤)が多いのは多くの方がご存知の通りです。逆に、丘陵地であれば地盤が良いと考えている方が多いようですが、これは事実と異なるケースも多いです。特に、丘陵地のような傾斜地を切り開いて造成した土地では、切土と盛土があり盛土にあたる地盤は軟弱であることが多いです。
切土と盛土については、「開発された土地(造成宅地・分譲地)の地盤の注意点(切土と盛土)」に詳しく書いておりますので、ご覧ください。
日本国内は、全体的に地盤が弱い所が多いので、敷地ごとに地盤調査を行って個々に見極めることを前提としておいた方が良いでしょう。
地盤調査を行った結果、軟弱な地盤であった場合には地盤改良工事(地盤補強工事)を行う必要があります。地盤改良工事(地盤補強工事)にはいくつか種類があり、その代表的なものが、表層改良工法・柱状改良工法・鋼管杭工法です。
その詳しい内容については、「地盤改良工事(地盤補強工事)表層改良工法・柱状改良工法・鋼管杭工法」をご覧ください。
地盤改良工事(地盤補強工事)はコストがかかりますが、その補強内容によっては数百万円になるため、施主(又は買主)の立場としては安全面だけではなく、予算面(資金計画の面)でも注意しておかなければなりません。
売主や施工会社が地盤改良工事(地盤補強工事)のコストを負担する場合には、コストを抑制するために、地盤改良工事(地盤補強工事)をしないこともあります。地盤改良工事(地盤補強工事)の必要性の判断は難しいところもありますが、売主や施工会社によっては微妙なケースでも安全側をとって地盤改良工事(地盤補強工事)を行うこともあります。コスト削減が優先されていないかどうかは、購入判断の大事なチェックポイントです。