中古住宅の建物に関することのなかでも、特に大きな関心事の1つは雨漏りではないでしょうか。建物が古いだけに雨漏りしている可能性は十分に考えられます。実は、その住宅に居住している方(売主など)であっても、自宅の雨漏りに気づいていないということもあります。
雨漏りのチェックをする上で意識しておきたいことは、「雨漏りが生じているかどうか」、被害がある場合に「現在も雨漏りが継続しているかどうか」、「雨漏りによる被害が見えない箇所へ広がっていないかどうか」といったことです。ただ、雨漏りが継続しているものか(止まっているものか)、被害範囲がどこまで広がっているものか、といったことはなかなか判定しづらいです。中古住宅購入の判断材料としては、「雨漏りの跡があるかどうか」についてチェックしていくことが現実的です。
雨漏りが生じているかどうかですが、これは水染みの有無をチェックしていくことで確認します。水染みの痕跡がないかよく目視確認していきましょう。このときに雨漏りが生じやすい箇所を知っておくと確認しやすいでしょう。
まず、外壁面の壁と天井です。建物の外部から漏水するわけですから、外部と接する箇所で雨漏りしやすいのです。
この写真のように、染みが発見されれば雨漏りを疑うことになります。壁と天井のコーナー部分に生じる雨漏りは多いですから、気を付けてください。一般の方が住宅の見学に行った際は自分の目線から上の方向はあまりゆっくり見ることがありません。目立つ水染みがあるのに、「過去2度の内見のときには気づきませんでした」ということは意外と多いです。
次に、サッシ周りを注意してチェックしてください。雨漏りが起こる原因はいくつもありますが、サッシ周りから建物内部へ雨水が侵入することは本当に多いです。
サッシの枠の下側や横側から水染みが見つかることも多いですが、サッシの上から漏っていることもよくあります。
サッシ周りからの雨漏りが多い原因の1つは、そのあたりの防水シートの施工がよくなかったからです。例えば、外壁の継ぎ目のひび割れ部分から外壁内部へ雨水が侵入したとしても、壁内にある防水シートが室内への雨水の侵入を防ぐのですが、その防水シートの施工が不適切であれば、室内側へ漏水してきます。このことは、住宅の新築時の住宅検査でもよく指摘される項目ですが、職人の知識や経験の不足および工事監理が適切にされていないから生じてしまう施工ミスだといえます。
そして、屋根裏の確認も非常に重要です。「雨漏りの調査と言えば屋根裏ですよね」という方も多いですが、確かに屋根裏で雨漏りの跡が発見されることは多いです。屋根裏の内部を確認するためには、点検口(もしくは点検口の代わりとなるもの)が必要です。
点検口は、収納内の天井板に設置されていることが多いです。点検口は普段は使用しないため、目立たないところに設置されているのです。ときには、廊下や居室の天井に設置されていることもありますが。
その点検口を開けて、屋根裏の内部をのぞいてみてください。屋根面(屋根の下側の面)に水染みがあれば雨漏りの可能性が考えられます。漏水がひどい場合は、天井材や断熱材の上にポタポタと水滴が落ちていた跡が見つかる中古住宅もあります。
ただ、屋根裏のなかは危険です。知識も経験も十分に無い方が屋根裏のなかへ入ることはやめておくべきです。天井材に体重をかけてしまうと天井に穴が開いて落ちてきてしまうこともあります。大けがをするかもしれませんし、天井を壊したとなればその補修費の弁償もしなければなりません。
そして、最後に雨漏りのチェックで注意しておきたいのは軒裏です。軒裏は建物の外部です。軒裏をよく見ると水染みらしきものが見つかることがあります。これは、内部に漏水している可能性があるということです。
似た位置としては、玄関ポーチの屋根です。ポーチの屋根を真下から見上げると水染みが確認されることがあります。バルコニーの床下側もそうです。軒裏もこの玄関ポーチの屋根も厄介なのが、その内部を点検できるような点検口が無いことが多いという点です。その水染みが雨漏りなのかどうか判断できないこともあるのです。
実は、室内の壁や天井、サッシ周り、屋根裏などで水染みを見つけたとしても、そのすべてが雨漏りとは限りません。天井や屋根裏、そして窓の建具枠では結露が生じて染みになっていることもあるからです。なかには、上階の配管からの漏水ということもあります。
ただ、いずれにしても大事なことですから、水染みがあれば注意しなければなりません。雨漏りの被害にあえば、その被害範囲次第では補修にかかるコストも馬鹿にならないですから、購入前にできる範囲でチェックしておきましょう。専門家の住宅診断(ホームインスペクション)で雨漏りの跡を一緒に見てもらう方法もあります。