中古住宅を購入しようとして物件を見学した際に、基礎コンクリートにひび割れ(クラック)があるのを確認した場合、多くの方が「このまま購入しても大丈夫だろうか?」と考えるものです。基礎は建物のあらゆる部位のなかでも大事なものだということは、ご理解いただけると思います。そんな基礎に問題があれば心配するのも無理はありません。

基礎のひび割れ(クラック)と言いましてもいろいろあり、その症状によって判断は異なります。特に心配する必要のないものもあれば、早めに補修等の対応が必要なものもあります。大事なことですので、基本的には一級建築士などの専門家に診てもらうことをお奨めしますが、ここでは基礎コンクリートにひび割れ(クラック)を発見した場合の考え方について説明します。

1. まずは症状をよく観察する

ひび割れ(クラック)をよく観察し、その大きさなどについて把握しなければなりません。そのひび割れ(クラック)の巾が0.3mm以下であれば、基礎表面のモルタルのひび割れであって、コンクリートにひび割れがない可能性が高まります。この場合は、それほど心配する必要性はありません。

2. 他にも心配される症状がないか調査する

基礎の他の箇所にもひび割れ(クラック)がないか、外壁にはないか、建物内部(室内)の壁にはないか、床や壁が傾いていないかといったことを1つ1つ丁寧に確認していきます。また、できれば床下の基礎の状態も点検口や床下収納庫から確認するとより安心できます。

3. 上記1や2でひび割れの巾、他の症状に問題があれば慎重に

ひび割れ(クラック)の巾が0.3mmを超えている場合、またその箇所が複数個所ある場合には少し心配しなければなりません。また、外壁などにもひび割れが散見されたり、床の傾きを感じたりしたときもそうです。こういった場合には、一度、中古住宅の住宅診断(ホームインスペクション)を利用しておいた方が無難でしょう。

 基礎にひび割れ(クラック)が生じる原因としては、「新築時の施工不良・不具合」や「軟弱地盤と地盤補強不足による不同沈下」、さらには「著しい劣化」などが考えられます。これらの複合的な原因ということもありえます。専門家であっても、簡単に判断できないこともあるため、一般の方が容易に判断してしまわないことが大事です。

 基礎にひび割れ(クラック)が生じること自体はよくあることですので、ひび割れ(クラック)を見つけたからといって慌てすぎる必要はないのですが、慎重に検討するようにしましょう。

 また、中古住宅購入の際に購入したい物件にひび割れ(クラック)が見つかったとき、不動産会社から「これぐらいは大丈夫」と説明を受けることもありますが、営業担当者の多くは建築・建物の分野に関する専門知識は不足しているため、簡単に信用しないことです。

 そして、最終的に心配する必要がないひび割れ(クラック)であると判断されたとしても、雨水が入っていき経年とともに劣化が進んでいくために、補修することは考えておきましょう。構造的に問題の無いヘアークラックであれば簡単な補修でそれほど費用もかかりません。他のリフォームするついでに対応するとよいでしょう。

ホームインスペクションのアネスト

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第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。