再建築不可の中古物件を購入する上で知っておくべきデメリットは前のページ(再建築不可の中古物件購入のデメリットと注意点)までに述べてきましたが、ここでは逆にメリットを考えてみましょう。物件によっては購入を検討する価値があるかもしれません。

再建築不可物件のメリット

再建築不可のデメリットの1つである資産価値の低さですが、購入するときには売買価格が安いために、逆にメリットと考えることもできます。住宅に対する投資額は人生の中であまりに大きなものですが、その投資額を抑えることはメリットだとも言えます。

資産価値だけではなく、実際に土地の評価額が低くなるために固定資産税や相続税も安くなることもメリットです。固定資産税は毎年かかるマイホームのランニングコストですが、これを抑えられるわけです。

メリットは以下の2点です。

  • 資産価値が低いが購入価格も安い
  • 固定資産税・相続性が安い

しかし、他にこれといって大きなメリットをあげるのは難しいです。そこで、検討する価値がある再建築不可の物件であるかどうかを見極めるチェックポイントや注意点をあげてみます。

再建築不可の物件のチェックポイント

1つ1つの物件をよく見ていくと再建築不可とはいえ、購入する価値ある住宅もあります。もちろん、人によって考え方はまちまちですから、誰にとっても同じように価値があるわけではありません。以下にあげていることを見て、納得できる方なら検討してもよいかもしれません。

まず第1に、建物の構造躯体がしっかりしていることです。建て替えできない住宅を購入するわけですから、現存する建物の躯体がしっかりしていなければ、長持ちさせるのは困難です。この点は非常に大事なことですから、建物の専門家(建築士)に住宅診断(ホームインスペクション)してもらって、判断するべきでしょう。

建物の構造躯体とは、基礎・土台・柱(または壁)・梁・屋根などです。これらの全てを現存する建物で調査してもらうことは無理です。どうしても見えない部分があるため、いくら専門家といえども完璧な調査をすることはできません。つまり、少しでも専門家が確認できる範囲が広い方がよいわけで、そういう意味では床下や屋根裏のなかを点検口から入ってもらって、奥まで調査してもらうことをお奨めします。

建物によっては点検口などの人が入る入り口がないこともあるので、そういった再建築不可の物件を見送った方が賢明でしょう。再建築不可でなくとも床下や屋根裏は見ておきたいものですが、再建築不可となれば必須だと言ってもいいでしょう。

次に敷地への日当たりがよいことも大切です。隣地に囲まれた土地の場合、風通しや日照が悪く、常にジミジミしていて湿気が高いということがあります。そういった土地上の建物は、管理をしっかりしておかないと劣化が早いこともあるからです。

そして、車庫(ガレージ)を必要としないか、または通路部分に駐車しても乗り降りなどの利用上の問題がないことも確認したいポイントです。車のドアをあけて乗り降りが容易であればよいのですが、通路がせまくて隣地の塀が近いと使いづらいです。

再建築不可の対策

ただ、隣地も同じように再建築不可の物件であって、お互いに通路を上手く利用しあえることがあります。上図のようにグレーとグリーンの土地が再建築不可で隣り合っているとします。互いに通路部分は狭く使いづらいのですが、境界の塀やフェンス(赤色部分)を設けなければ、車の乗り降りもしやすくなります。

再建築不可物件を購入するときのチェックポイントをまとめてみます。

  • 建物の構造躯体がしっかりしていること
  • 日当たりがよいこと
  • 車庫不要か駐車して乗り降りできること
  • 隣地も専用通路なら互いの協力次第で使いやすいこともある

再建築不可の物件を購入した後のこと・対策

最後に再建築不可物件を購入した後のことを考えてみましょう。

現状では建築基準法上の道路に接していない、または接していても2m以上接していない物件でも、将来的に隣地を購入できれば再建築が可能になることもあります。そうなれば、購入時よりも価値が大きく高まり、得をする可能性があります。

ただし、隣地が売りに出るかわからないし、売りに出ても他の人が先に購入する可能性もあります。また、購入する資金をそのときに用意できるかどうかも問題となります。

ちなみに、隣地の土地の1部のみを購入することで、2m以上の接することができることがあり、稀にそのような取引がされています。隣地が自分の土地の一部を割譲して売ってくれる場合です。

上記のように隣地を購入するときの取引価格は相場よりも高くなりがちですが、それだけの価値があり購入資金を用意できるならば購入されるのではないでしょうか。

再建築不可の物件は売却しづらいことがデメリットの1つですが、売却せずに賃貸する(オーナーとして誰かに貸す)という選択肢もあります。購入価格が安いだけにかえって利回りがよく運用上のメリットが大きいこともあるため、この点はよく検討すべきところです。不動産業者によってはこれを狙って安く買い取りしている会社もあります。

そして、大事なことですが、購入後の補修やメンテナンスについては十分に気を配り、長く住み続けられるように努めるということです。

  • 隣地の追加購入で再建可能になれば資産価値UP
  • 隣地の一部購入でも
  • 将来は売却せず貸すという選択肢も(利回りがよい?)
  • 補修・メンテナンスにコストをかけて長持ちさせること

ホームインスペクションのアネスト

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第三者の一級建築士が、住宅購入・新築時などに建物の施工ミスや劣化具合などを調査する。新築(建築途中および完成物件)・中古住宅に対応。安心してマイホームを購入できる。