中古マンションの築年数

中古マンションを購入するとき、その建物の築年数を気にする人は多いでしょう。当然のことと言えますね。購入判断の参考とするポイントとして築年数に関わることを解説します。

中古マンション購入判断は1981年(昭和56年)がポイント?

「中古マンションは古いので、構造的に危なそうだ」「新築に比べて、昔の技術水準は低いだろうから新築マンションの方が良いのではないか」と漠然としたイメージから、新築マンションより中古マンションを選ぶ方は少なくなさそうです。

しかし、新築よりも購入しやすい価格帯であることや実物を見て購入できるというメリットもあるので、イメージだけで判断すると実は損をしているかもしれません。正しい知識、情報をよく理解した上で判断されると良いでしょう。

大事なチェックポイントの1つが、「マンションが何年に建築されたか?」という点です。

1981年(昭和56年)に建築基準法が改正されたことで、建物の耐震性について高い基準を求めるようになりました。これを新耐震基準と呼んでいますが、新耐震基準で建築されたマンションであれば、それ以前のマンションに比べて耐震性が高いと言えます。

しかし、注意しなければならない点があります。その中古マンションの完成年月だけを見ていては、新耐震基準で建築していないマンションまで、新耐震基準を満たしたマンションだと誤解してしまう怖れがあるからです。

この建築基準法の改正は6月1日に施工されました。建築前に行政に建築確認申請をして、その承認を得てから建築するのですが、1981年(昭和56年)6月1日までに建築確認がおりていれば、それ以降に建築・完成することもあるのです。よって、マンションの完成日が1981年(昭和56年)6月以降であっても安心できないのです。

この1981年(昭和56年)6月1日より前に建築確認がおりたものであれば、古い基準で建てられている可能性が高くなるということを理解しておきましょう。

マンションは、一戸建て住宅と違い建築期間(工事期間)が長いですね。マンションの規模等にもよりますが、着工かしてから1年以内に完成するマンションは稀です。1年を超えて、いや2年を超える場合だって少なくありません。今のように超高層マンションはなかったにしても、マンションの工事期間は長いものです。

そして、中古マンションの購入者がその物件の情報を見るときには、建築確認の日を確認するには少し手間ですが、完成年月ならば不動産業者のチラシにも載っていますので簡単に確認できます。

こういったことから、チラシや不動産業者の用意する資料で完成年月を確認し、その完成年月が1983年もしくは1984年以降であれば、新耐震基準で建てられていると考えてよいでしょう(但し、できれば建築確認の年月も確認をお奨めします)。

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1983年もしくは1984年以降に完成したマンションであれば、
新耐震基準で建築された可能性が高い。
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上記が1つの大事な目安になります。

ただ、1981年6月以前であっても、新耐震基準と同等の設計をしているマンションはありますので、全てのマンションに該当するわけではないことも頭に入れておくと良いでしょう。

中古マンションの購入で狙い目の築年数は?

新築住宅というものは、購入した時点で、つまり中古になった時点で数百万円も価値が下がってしまい、その後も価値がどんどん下がってしまうものであることは多くの住宅購入者がご存知だと思います。

同じ新築であっても一戸建て住宅であれば、その価格に占める土地価格の割合が高いためにマンションほどの下落率にはならないことが一般的です。マンションは、土地価格の占める割合が小さい分だけ価格下落の影響が大きいわけです(もちろん、個々に例外があるので個別の物件ごとに評価すればいろいろなケースがあります)。それだけに、少しでも価格が下落しにくいマンションを選びたいところですね。

土地は、そのときの市場の動きによっては相場が上がることも下がることもあります。しかし、残念ながら建物は古くなれば価格が下がるのが日本の不動産市場の一般的な見方です。建物価格の割合が高いものほど、新築から中古になった時点での価格の下落が大きくなりやすい傾向にあります。

しかし、同じ中古マンションであっても築年数によって下落幅には違いがあります。これを知っておけば、購入後の下落幅があまり大きくなかったり価格を維持したりすることも可能な場合があります。市場動向次第では値上がりすることもあるので、あなどれません。

新築してから最初の15年は中古マンションの下落率が非常に高く、その後は価格がある程度、安定するというデータがあります。

新築直後に価格が大きく下がることが世間でも知られているからか、築浅の中古マンションは人気が高く、売却に出されても取引が成立しやすいことが多いです。この影響もあってなのか、築5~10年程度の中古マンションは新築時より安いとはいえ、まだ十分に価格が下がっていません。

事実、築6~15年の中古マンションの取引件数は非常に多いです。それが築15年を超えると取引件数も減り、これと関連するように価格があまり下がらなくなるのです。

日本で新築住宅を購入するということは、資産形成という点ではマイナス点も大きいのですが、築15年を超える中古マンションであれば、価格下落リスクが小さいので資産として見るにも適しています。ただ、古いマンションには古いなりのデメリットや問題点もあるので、個々に目利きして適切に判断していく必要はあります。

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