設計図書とは、設計図と仕様書によって構成されるものです(設計図書は「せっけいとしょ」と読みます)。

建築基準法の第2条12項には、設計図書について「建築物、その敷地またはこの法規で規定されている工作物に関する工事用の図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書をいう」と記載されています。また建築士法の第2条1項には、「設計図書とは建築物の建築工事の実施のために必要な図面(現寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書」と記載されています。

つまり、工事に必要な図面(設計図)と仕様書をあわせたものを設計図書といいます。工事に必要な図面を設計図といいますが、この設計図は構造や形状などを描いたもので、平面図や立面図、断面図など様々な種類の図面があります。仕様書とは具体的な工事の内容・方法を記載するもので、図面で表せないようなことが含まれています。また、仕上げ表というものもあり、これには壁・床などの内装や外壁などの外装の仕上げを記載されます。

設計図書は、その建物が完成した後に名称を変えて保管されます。工事途中で生じた変更工事の内容を反映したものを竣工図書として作成するのです。

設計図書は、設計者や分譲業者によって作成する設計図面の種類に違いがあり、どの住宅でも同じというわけではありません。大手ハウスメーカーでは、様々な種類の設計図面を作成して施主や住宅購入者へ提出しますが、ローコスト住宅を売りにする建売分譲業者や規模の小さな不動産会社、工務店では、一部の設計図面のみを作成していることも非常に多いです。

しかし、規模が小さくとも様々な種類の設計図面を作成して設計図書として施主等に提出する工務店などもあるため、規模だけで判断することはできません。設計図書は作成する図面の種類・枚数に応じてコストも増えるため、一部の作成に留める会社も多いのです。設計図書は、どのような住宅を建築するかを明確にするために大事なものですから、不足している場合にはそれがトラブルの種となることもよくあります。

設計図書をしっかり作成しているかどうかは、不動産会社・工務店・ハウスメーカー選びの1つの参考材料となります。

一般的な住宅で作成される設計図書に含まれる設計図の一覧は以下の通りです。どの住宅でもこれらすべてが作成されているわけではなく、また複数の図面が1つの図面にまとめられていることもあります。

次ページからは、各書面についての説明などを記載していきます。まずは、「住宅の仕様書と標準仕様書の見方とチェックポイント」です。

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