建築前の建売住宅を購入するときの売買契約の流れについて説明します。建築前の建売住宅を購入する場合は、物件によって様々な進め方があるので少しややこしいと感じるかもしれません。
本来の流れ(基本的な流れ)
まずは、本来の流れ(基本的な流れ)について説明します。以下のような流れとなります。
1.購入の申し込み
「その物件を買います」という意思表示です。
2.土地と建物の売買契約の締結と手付金の支払い
土地と建物を1つ売買契約書で契約します。
3.建物の建築工事を開始
4.建物が完成
5.買主の竣工検査(内覧会)
買主が完成した建物が契約通りか、工事品質に問題ないかをチェックします。
6.残代金の支払いと引渡し
上記が本来の流れです。
注意点としては、上記2の売買契約を結ぶ前に、建物のプラン・仕様について設計図書でしっかり確認しておくことが大事です。
また、買主による竣工検査は引渡しを受ける前に必ず実施しなければなりませんので、この点も注意してください。売主によっては、買主から要望しないと買主の竣工検査(=内覧会)の機会を設けないこともあります。第三者に竣工検査の立会いを依頼することもできます。
次に、イレギュラーな取引の進め方について説明します。
あくまで、本来は上記の流れですので、上記の通りに進めて頂きたいのですが、不動産業者や取引によっては別の進め方をすることもあります。
イレギュラーな流れの例1:売買契約を再締結をする場合
前述した本来の売買契約の流れと似ているのですが、建物のプランが決まってから契約を巻き直す、つまり元の契約を破棄して新たな契約を再締結するということがあります。その流れは以下の通りです。
1.購入の申し込み
2.土地と建物の売買契約の締結と手付金の支払い
土地と建物を1つ売買契約書で契約します。
3.建物プラン(間取り等)の打合せと合意
4.土地と建物の売買契約を再度、締結
この時に最初の契約書を破棄します。
5.建物の建築工事を開始
6.建物が完成
7.買主の竣工検査(内覧会)
買主が完成した建物が契約通りか、工事品質に問題ないかをチェックします。
8.残代金の支払いと引渡し
このパターンの場合は多いです。
上記3の際に建物プランについて合意できないことがあります。希望するプランが物理的に難しい場合や価格が合意できない場合などです。
合意できないのであれば、買主としてはその物件の購入をあきらめて他の物件を探したいと考えることもありますが、上記2で一度、契約を交わしているので、破棄できない、、、という問題が起こり得ます。手付金が返金されないリスクがあるので、慎重に進めなければなりません。
基本的には、買主にとってあまり好ましくない進め方です。建物のプランが確定する前には契約を結ばず、プランについても十分に打合せし、合計金額を確認してから売買契約を結ぶよう心掛けてください。
イレギュラーな流れの例2:土地の売買契約と建物の請負契約
次にイレギュラーな場合としては、土地については売買契約を結び、建物については請負契約を結ぶ場合があります。建物が請負契約となっている時点で、建売住宅とは解釈しづらいのですが、現実にはこのようなケースであっても不動産業者が「建売住宅です」と説明していることが少なからずあります。
購入の流れは以下のようになります。
1.購入の申し込み
2.土地の売買契約の締結と手付金の支払い
土地のみの売買契約書で契約します。
3.建物プラン(間取り等)の打合せと合意
4.建物の請負契約の締結
建物代金についての手付金を支払うこともあります。
5.建物の建築工事を開始
6.建物が完成
買主が完成した建物が契約通りか、工事品質に問題ないかをチェックします。
8.残代金の支払いと引渡し
これは、「売買契約を再締結をする場合」とほぼ同じ流れに見えます。
しかし、土地の売買契約を締結する際に、「建物プランで合意しない場合には土地の売買契約を白紙解約する」旨の特約をつけておくことで、買主のリスクを抑えることができます。これは、本当は建売住宅というよりは、建築条件付き土地の売買と注文住宅の請負契約なのですが、不動産業者の説明では建売と同じになっていることがあります。
つまり、「売買契約を再締結をする場合」よりは、買主にとって安心できる進め方だと言えます。しかし、売主である不動産業者(又は仲介する不動産業者)にとっては、買主と合意できずに契約がなくなってしまうことをリスクと考えることがあり、不動産業者は「売買契約を再締結をする場合」の方を採用することも多いです。
また、土地の売買契約の際に「建物プランで合意しない場合には土地の売買契約を白紙解約する」旨の特約を付けていないことも見かけますので注意が必要です。
不動産業者の説明としては、「買主の希望を反映したプランにするものの、あくまで建売住宅ですから」ということが多いです。実際に、あまりプラン変更の融通がきかないことが多いので、この点をよく理解して購入判断する必要があるでしょう。
これらのケースのように、建売住宅とは言っても実態が異なることは多いので、こういうイレギュラーな取引の形があることを理解しておきましょう。建築前の建売住宅を購入する際に理解しておきたいことです。