北陸の冬の気候と暮らしにあった住まい
● 北陸の冬の特徴
北陸の冬といえば、中国大陸から吹き込む北西からの強い風と雪があります。これに対する備えをどうするか。冬の暮らしの一番のポイントです。
統計上、冬は北西または南西から、そのほかの季節では東からの風が一番多くなっています。「夏の南風」という発想は太平洋側での暮らしをイメージしているものです。それでは北陸の風、雪に対抗・共存する方法はどうすればよいのでしょうか?
● 間取りでの工夫を紹介しましょう
*玄関は北西の方向に配置しないようにしましょう
敷地などの関係でどうしても北西になる場合は引っ込めてしまうか、風除室を設けるなどの方法を必ず考えましょう。北西からの強い風・雪を甘くみると冬は大変です。
*風除室は新築のときから計画をしましょう
風除室は冬の冷えた空気が直接入り込んだりするのを防いで室内の温度を一定に保つという効果があります。強い風、雪のときは身支度とか傘の開閉などを風除室で行うことができますので、使いやすい空間としてはじめからデザインしてしまいましょう。
*組み込みの車庫
冬の期間が長く、雨の日が多い地域では車庫を住宅に組み込むタイプにすることで大きな利点があります。車に雪が積もらないため朝の時間を除雪に費やす必要がありません。道路までの距離も短いと除雪が楽になります。
タイヤ・バイク・自転車などを収納したり、屋外から使用できる物入れもあったりすると便利です。また、玄関や勝手口につながっていれば風雪に打たれずに出入りができてとても助かりますし、駐車していない時には子供の遊び場や物干しなどに利用できます。
*半屋外の場所を用意しましょう
道路から入りやすい場所に「半屋外」の場所があると意外と便利です。灯油とか除雪のための器具も置いておくことができますし、外から使える物置にもなります。勝手口につながっている場合は、ごみの分別の仕分け容器が置けるので助かります。
*冬の物干し場も考えましょう
乾燥機があっても最後は干して乾かす人も多くいます。物干し場(サンルーム・家事室)を希望する人はとっても多いのです。部屋干しは結露やカビの元になりますし、見た目が悪いうえに部屋のにおいも気になります。そんなことがないようにはじめから計画しておきましょう。
● 屋根雪に対する備えはどう考えればよいのでしょう?
*屋根にも雪対策をしましょう
街中では屋根に雪留めをつけて普通の積雪量に耐えられるようにしてあるのが大半です。でも、特に雪が多いところでは雪の落ちやすい形や勾配にしたり(落雪型)、屋根を暖めて融かす(融雪型)といった方法もあります。
*形はシンプルに考えましょう
雪雨が多いところではシンプルな屋根の形が理想です。雨漏れなども少なく雪もたまりにくいのです。さらに東西方向に流れる屋根型であれば、屋根雪の溶け方が平均化します。
*落雪スペースもしっかり確保しましょう
雪が落ちる側の隣地との距離もしっかり確保して、隣家とは仲良く暮らしたいですね。街中では雪が落ちないように雪留めを忘れずに計画しましょう。
山内隆 一級建築士 住宅の設計・監理、ホームインスペクション(住宅検査・住宅診断)を行っており、石川を中心に北陸で活躍している。 住宅検査・住宅診断のアネスト 山内環境計画設計 |