新築住宅購入時の請負契約と売買契約の違い
新築住宅購入に関して相談にこられる方に、請負契約か売買契約かとたずねるとわからなかったり、混同されたりしている方が多くいます。
簡単な話としては、注文建築は請負契約で建売住宅は売買契約となるのですが、建築条件付土地の売買となると土地の売主が工事の請負契約もしたり、建売と言っても建築前で変更が可能ですといって、本人は注文建築のように錯覚したりします。
それではどこが違うか整理をしてみます。請負契約は、工事を依頼するので原則は建設会社で建設業法に則り、建設許可を取っている必要があります(条件により許可が不要な場合もあります)。
売買契約では不動産の売買なので宅地建物取引業法に則り、宅建業登録が必要となります。また民法上では、途中解約はどちらも可能ですが、売買契約では状況により白紙に戻すことが出来ますが、請負契約ではその時点以降のみの契約を解約することになります。
すなわち完成していると請負契約は解約できず、売買契約は解約が可能となります(状況等に応じて違約金等はあり)。
次に、よくある問題点ですが、請負契約では、建物を建築する契約ですので、設計図書が非常に重要です。建築主は依頼者となり、建築基準法上の義務は、依頼者に掛りますが、建築主として建物への注文も可能となります。
売買契約では建築主は売主となり買主である依頼者は、完成するであろう建物を買う約束をすることになります。よって建物に対しての注文も聞いてもらえない場合があります。
よく聞くトラブルとしては、建築条件付土地の購入で、土地の売買契約時に何も決まっていない建物の請負契約をすることが多くあります。ところが、業者によっては建売住宅の感覚で自分のところで決めた仕様でなければ出来ないということで、打ち合わせを進めるうちに、「思っていたのと違う」ということがよくあります。
既に、土地の決済も終わっていれば解約も困難になってきます。少しでも気になるところ、わからないところはよく説明を聞き確認することが重要です。
田中義之 一級建築士 住宅の設計・監理、ホームインスペクション(住宅検査・住宅診断)を行っており、兵庫県神戸市を中心に関西で活躍している。 住宅検査・住宅診断のアネスト TA工房 |