住宅購入資金計画についての誤解(相談実績から)
振り返ると、かれこれ10年以上、住宅購入資金の相談を受けています。今回はその立場から住宅購入資金について誤解されているような所を見て行きたいと思います。
誰しも一度しかない人生です。その中で家を買うイベントは1回もしくは2回が一般的だと思います。特に20代・30代の方にとっては初めて迎えることだと思いますから、住宅資金についての知識を十分備えて臨んでいるとは限りません。
住宅購入の際、多くの時間は販売側担当者と費やしますから、どうしても売り手側から出てくる情報を伺いながら進めることが多くなります。その時点からファイナンシャルプランナーへ相談に来られることも多いのですが、お話をお伺いすると何か思い込みとか誤解されているようなことが散見されます。そんな経緯もあって取り上げてみたいと思います。
【誤解その1】住宅ローンの借り入れは35年しかできない!
結論は35年でなくても大丈夫です。
住宅ローンの商品によりますが、一般的に2年以上35年の範囲で設定することができます。さらに完済年齢が80歳を超えない年数が上限です。ここでも5年単位の誤解をされている方もいらっしゃいますが、キリのいい数字でなく1年単位で設定して構いません。
借り入れ年数は返済総利息に影響を及ぼしますので、年収比率と長期的に家計に無理がない限り1年でも短くするほうが望ましいと思います。あと背景としては、売り手側にとって買い手へ住宅ローン返済額を案内しやすいこと、および住宅ローンの審査に掛けやすいという都合も伴います(※1)。
【誤解その2】住宅ローンの借り入れは変動金利しかできない!
これも変動金利でなくても大丈夫です。これも売り手側にとっては借り入れ年数35年と同じ都合(※1)があると思います。固定金利での借り入れも選ぶことが出来ます。金利を併用できる金融機関もあります。
もう20年近く低金利時代を過ごしてきたため、これからも金利は上がらないものだという意識が漂っています。それでも先行きの経済は不透明で誰も正確に予測できないことから、変動金利を選ぶにあたり、どれぐらい金利が上昇しても返済が大丈夫かを検証して何か目安を持っておきたいところです。
【誤解その3】住宅ローンの返済額とは別に維持費も一定額見ている!
今払っている家賃と住宅ローン返済額だけで比較をされている方を見かけます。よって住宅ローン以外の維持費も見ていただいていることは良いと思います。
ただ、一定額という部分は今後変わっていくかもしれません。維持費は管理費・修繕積立金(マンションの場合)・固定資産税などが挙げられます。特に修繕積立金は当初は月数千円と低く設定されている物件があります。その場合は数年毎に段階的に上がり、やがて1万円後半から2万円後半に達する計画になっていると思います。将来の上昇分も見ておきましょう。
固定資産税も新築物件であれば(建物仕様により)3年または5年または7年経過後に建物部分の1/2税額軽減が取れて跳ね上がりますので注意が必要です。固定資産税は3年ごとに課税基準価格の見直しがあるため、建物部分については工事費が高騰しない限り経年とともに税額は下がっていく傾向があります。
いかがでしたでしょうか?
上に書いたことは一般的には常識と思われるかもしれません。ただ買い手側(当事者)がほとんど経験していないが故に、売り手vs買い手の知識差でこうなってしまうことを汲み取っていただければと思います。この続きは次のコラム(続・住宅購入資金計画についての誤解(相談実績から))に預けたいと思います。