消費税増税、住宅購入への影響
〜増税前の駆け込み契約と2014年3月問題〜
○消費税増税前の駆け込み需要、駆け込んだ方が損?
2014年4月からの消費税の増税が確定しました。住宅購入者にとって、3%の増税は大きな負担増となることは間違いありません。建物価格が1,800万円ならば、その3%で54万円もの増税です。ちなみに、8%の消費税とは144万円ですから購入意欲をそいでしまいそうですね。
住宅の請負契約を2013年9月までにしておけば、2014年以降に完成し引渡しを受ける新築住宅であっても、消費税の増税を免れることになっておりましたので、住宅メーカー各社は駆け込み需要を狙って、煽って、多くの契約を獲得しておりました。
駆け込み需要が増えている時期は、消費者の交渉力が弱いことが多いためにそれほどの値引きをしていないことも多いと予想され、契約金額、値引き、消費税増税、住まい給付金などを考慮した場合にむしろ損をしている消費者もかなり多いことでしょう。
既に過ぎてしまったことを言っても仕方ありませんね。
○増税前の強引な引渡しが招く欠陥工事という「2014年3月問題」
そして、これから確実に増える問題が2014年3月に完成・引渡しを迎える戸建て住宅の突貫工事とそれによる施工不良・欠陥工事です。2013年9月までに契約している住宅であれば、引渡しが2014年4月以降になったとしても消費税は変わりません。
しかし、2013年10月以降に契約した住宅であれば、2014年3月までに完成させて引渡ししなければ、消費税の増税で負担が大きく増えてしまいます。これは請負契約を結ぶ注文建築に限らず、建築前や建築中の建売分譲住宅を含みます。
関東など東日本では東北の復興の影響もあって現場の職人不足が話題になっておりますが、駆け込み完成期となるであろう、2014年2〜3月はさらなら職人不足が問題になる可能性があります。職人不足が無理な工期につながり、無理な工事を生むという流れは容易に想像できます。例年、2〜3月は決算期末の関係もあって完成を急ぐ現場が多いため、施工不良の住宅を明らかに増える時期です。しかし、2014年は例年以上の施工不良物件が引き渡される可能性が高いでしょう。
住宅を購入する消費者の立場では、工期にゆとりのある住宅を新築するか、購入することを優先して頂きたいと考えます。それでも、どうしても2〜3月に完成する住宅は多いですから、そういった物件を購入する方も多いことでしょう。その場合には、しっかり建築中に第三者の住宅検査・診断を入れることで住宅の施工品質を確保する(施工不良を是正して頂く)よう努力をされた方がよいでしょう。完成後の住宅ならば、引渡し前の竣工検査に立ち会ってもらうとよいでしょう。
数十万円の消費税増税は大きな問題ですが、そのために施工不良の多い住宅を買ってしまってはその後の対応、負担の方が大きくのしかかることになるでしょう。購入者自身が問題を防ぐ努力をしなければならないことは明白です。
2014年3月には、各地で「消費税の増税にならないように引渡しを受けた方がいいですよ」と買主へ話をされる不動産会社、ハウスメーカーの方が非常に多く現れることでしょう。増税を「正当な」理由として用いた話にのってしまい、未完成の住宅の引渡しを受けることのないように注意して住宅購入をして欲しいものです。
契約上の引渡し時期が2014年3月までであるにもかかわらず、買主に責任のない原因で引渡しが4月へずれ込むようであれば、その責任は売主、施工会社などにある可能性もあり、その原因によっては増税分を売主側に負担して頂く交渉をする余地があるかもしれません。違約の可能性も出てきますから、売主側の説明だけを鵜呑みにしないことですね。
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荒井 康矩 住宅コンサルティング会社の経営者 住宅の購入相談、ホームインスペクション(住宅検査・住宅診断)を行う(株)アネストブレーントラストを経営している。 住宅検査・住宅診断のアネスト |