リフォーム・リノベーションの契約の注意点
リフォームやリノベーション工事を行う施工業者を選べば、いよいよ契約です。この契約は、建築工事請負契約を交わすことで成立します。当然のことですが、契約は口約束ではなく、契約書を交わすようにしましょう。工事の規模が小さいことなどを理由に口約束だけで済ませてしまい、請負契約書も見積書も無いということもありますが、トラブルの原因になります。
どんなに信用できる業者だと思っても、請負契約書や見積り書は必須です。逆に、本当に信用できる業者であれば、必ず、こういった大事なことは書面にするはずです。「言った、言わない」のトラブルは本当に多いので、十分に注意してください。
基本的なことですが、請負契約書に約款もあることを確認してください。請負契約書と約款は大事なことが書かれておりますので、面倒だと感じてもしっかり熟読して理解するよう心がけましょう。特に約款は小さな文字で多くのことが記載されていることが多いですが、よく読んでおきましょう。
○添付書面のチェック
リノベーションやリフォームの契約において、大事なことの1つに添付書類のチェックがあります。契約書に添付される書類に不足があれば、後々のトラブルの要因になります。
具体的には、以下のものが必要です。
- 工事の見積書
- 仕様書・仕上げ表
- 設計図書(図面)
- 打合せ議事録(必要に応じて)
そして、これらの書類に記載されている内容が事前に打合せして合意したものであるか忘れずにチェックしなければなりません。何度も見積りをやり直したり、プランを作成しなおしたりするうちに、似たような書類が増えていきますが、合意したものと異なるものが添付されていることが少なくありません。必ず合意した内容であるか確認してください。
上記のうち、設計図書(図面)については工事規模や内容によって図面の種類が異なるものです。小規模な工事であれば、平面や立面図(または展開図)のみで、仕様や仕上げについてはこの図面に書き込んだものとなることもあります。
数百万円の工事であれば、もっと詳細な図面を作成するリフォーム・リノベーション業者が多いですが、打合せの段階でどのような図面を作成するのかきっちり聞いておきましょう。
また、打合せして発注者と請負者が互いに合意した内容などをまとめた打合せ議事録がある場合には、これを請負契約書に添付することもあります。図面や仕様書などを補うものとして有効な場合があるため、必要に応じて添付してもらうとよいでしょう。
しっかりしたリフォーム・リノベーション業業者の営業担当者であれば、要求しなくても打ち合わせ記録を残すものです。打ち合わせ内容を記載し、お互いに署名・捺印するのがベストです。こういったことを自らやらない担当者であれば、あなたから要求することになります。
このときに多いのが、遠慮して打合せ記録の作成をお願いできないケースです。リフォーム・リノベーションを成功させるためには、こういったところでの遠慮は禁物なのですが、実際には多くいらっしゃいます。どうしても言えない場合は、自ら担当者の前でメモしていき、打合せを終える都度、その内容を確認してもらい、コピーを手渡すようにしましょう。 これは、最低限度、必要なことです。お互いに同じメモ(記録)を持たないといけません。
○工事請負契約書の内容をチェック
次にリフォーム・リノベーションの工事請負契約書の内容のチェック箇所についてです。もちろん、契約書類ですから、その一部に限らず記載されたことは全てチェックして理解してください。そのなかでも基本的なこと、大事な点を以下に挙げてみます。
- 注文者や請負者の記載事項
- 契約金額
- 工事期間・完了時期、引渡し時期
- 工事・引渡し遅延時の取り決め
- 保証範囲と保証期間
- 支払方法
まず、「注文者や請負者の記載事項」についてです。請負契約書に当然に記載されているものですが、稀に請負者が打合せをしてきた会社ではなく、関係会社などになっている場合もあります。税務対策などの場合もあるようですが、信頼できる状況か確認しましょう。
次に「契約金額」です。この金額が合意した金額と一致しているか確認しなければなりません。見積書の合計金額と一致しているかどうかのチェックです。工事の内訳をこの欄に記載することもありますが、これも見積書と一致しているか確認しましょう。
そして「工事期間・完了時期、引渡し時期」のチェックです。工事の開始時期や完了時期はもちろんのこと、引渡し時期も明記して頂かなくてはなりません。特に完了時期や引渡し時期が不明瞭な場合は、施主がイメージしていたよりも相当遅れてしまうこともあります。
なかには、口頭で聞いていた工事期間よりも大幅に遅れてトラブルになったものの、契約書で明確でないことが不利に働くこともあります。
また「工事・引渡し遅延時の取り決め」も大事なことです。請負者側の都合やミスによって引渡しが遅延した場合にはどのように対処するのか予め取り決めておきたいところです。遅延損害金を取り決めておくことをお奨めします。
「保証範囲と保証期間」も大事です。期間については引渡し日から○年と明記しておくとよいでしょう。保証範囲は、工事規模や内容にもよりますが、できれば項目を明記した保証書やアフターサービス基準書などを書面で受領したいものです。こういった保証面については契約段階ではなく、打合せを始めた早い時期に説明を求めておくとよいでしょう。
もう1つは「支払方法」です。請負金額などにもよりますが、契約時に支払う手付金と完了時に支払う残金の2度の支払いのみの場合もあれば、工事の途中で中間金を支払う場合もあります。こういった支払条件を契約前に聞いておき、それを明記してもらいましょう。
ここに挙げたチェックポイントは1部に絞っていますが、契約書や約款はこれだけに関わらず全て確認しておいてください。
ただ、工事請負契約書の全てをチェックするのは簡単ではありません。また、明らかに記載内容が少ないなどの理由で不安になることもあるでしょう。そういった場合は、1つの対策として「一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会」が容易しえいる標準契約書式を利用して頂くようにリフォーム・リノベーション業者にお願いしてみるのも方法です。
最後に、リフォーム・リノベーションの工事中や完成後に第三者の住宅検査(ホームインスペクション)の利用を検討している方は契約前にそのことを伝えておくとスムーズで、手抜き工事などの抑止力になることもあります。