新築やリノベーション時の施主支給のデメリットと注意点
前ページ(新築やリノベーション時の施主支給とそのメリット)では、施主支給の説明とそのメリットを見てきました。ここでは、逆にデメリットやリスク、注意点について見ていきます。
〇施主支給のデメリット
- 商品探しが大変である
- 手配・段取りが大変である
- 工事費が割高になることがある
- 商品の購入費が高くなることがある(工務店なら割引がある)
- 不具合時の責任が不明瞭になることがある
- 施主支給なら工務店等から工事を断られることがある
小さなメーカーも考慮すれば、無数に商品が存在するため、それらから希望の商品を見つけていく作業は大変です。住宅雑誌やインターネットの事例写真から、イメージしていくことになりますが、希望のものを見つけるのは案外容易ではありません。
また、商品を自ら購入して現場への配送まで段取りするのも大変です。現場へ納入してもらう時期はいつでもいいわけではありません。工事の工程を考慮して、工務店やメーカーの両方と打合せしながら調整しなければなりませんので、多忙な方には面倒なことになるでしょう。
そして、そういったことに施主が慣れていないわけですから、工務店も施主支給に対応するための手間と労力が必要となることがあり、そのために工事費が割高となることもあります。この点は事前に工務店によく確認しておく必要があります。
施主支給で安く商品を購入しても、工事費が高くなればあまり意味のないこともありえるでしょう。
施主支給のメリットに、「安く購入できることがある(もしくは安い商品を選択できる)」という点をあげています。しかし、逆に購入費が高くなることもしばしばあります。その理由は次の通りです。
工務店がメーカーから仕入れる場合、その取引量やメーカーの意向などにもよりますが、なかなか大きな割引率が適用されています。定価の半額以下ということもあります。それに工務店の利益が載せられて施主へ提供されるのですが、それでも定価より安いはずです。たとえば、定価の20〜30%減などといった具合です。
これに対して、メーカーと全く取引のない施主が商品を仕入れる場合、あまり大きな割引が適用されないことがあるため、それほど金銭的なメリットがないこともあるのです。
何よりも大きなデメリット、リスクと言えるのが責任の所在の問題です。住宅を新築したりリノベーションしたりすれば、しばらくしてから不具合が生じることはよくあるものです。これは、なかなか避けて通れない部分でもあります。
何らかの不具合が生じたときに、その原因が商品にあるのか、施工した工務店にあるのかは施主支給した場合においては非常に重要な問題となります。
たとえば、バスタブなど水周り設備をオシャレな輸入品を施主支給した場合で、入居後に漏水が生じたとします。商品を販売したメーカーは工事が悪いと主張し、工事会社は商品に欠陥があったと主張すれば、どちらも補修もしくは商品交換などに用意に応じてくれないことがあるのです。
施主支給ではなく、工事を請け負った工務店が仕入れた商品であるならば、どちらの原因であろうと施主から工務店へ責任(対応)を求めることができるのですが、施主支給の場合はこの点が複雑になってしまいますから注意が必要です。
前述のように施主支給に対応する手間やトラブルになる可能性を考慮して、工務店やハウスメーカーによっては、施主支給による施工をお断りしていることもありますので、最初に確認しておかなければなりません。
単純に総額を抑えたいので施主支給にしようとして、かえって損をする人もいるため工務店とははじめにしっかり打合せしてから検討した方がよいでしょう。