建売住宅の違反建築
荒井:
違反建築が問題になることも少なくないですが、現場でチェックできることで、法規制に関することも教えてください。
石神:
首都圏や近畿圏のような都市部では準防火地域に指定されている地域が多く、この地域内の木造住宅は建築基準法で決められた防火性能が必要です。特に3階建ての場合は準耐火構造という仕様が要求されます。
この規制によりサッシは防火設備に認定された物を採用します。防火設備は網入りガラス等の防火性能のあるガラスのサッシ、又は認定されたシャッターで施工されております。しかし、物件よってはこれらが守られていないことがあります。違反建築となってしまいますね。
荒井:
ほかによく違反建築があるのはどういうものでしょうか?以前は、東京や大阪などの都市部でよく容積率を超える建売住宅を見かけましたが、最近はこの手の住宅は減り、ほとんど見かけることはありません。
石神:
建築基準法の中間検査・完了検査は検査員が予約した時間に検査に来ますが、検査時間は次の検査予定がある事から数十分程度です。検査員は決められた検査項目をチェックしますが、完了検査の場合は床下や屋根裏まで検査する事はありません。即ち監理者の建築士としての責任を尊重して屋根裏などの隠蔽部分は監理者が適確に監理しているという前提があるからです。
荒井:
なるほど。そうしますと、監理者である建築士がしっかり現場で検査していることを前提にした制度だと言えますね。実際には、建売住宅で監理者がしっかり検査しているケースはほとんどないにも関わらず。
石神:
つまり、建売住宅を購入するのであれば、そういう現実をよく理解して買わないといけないということが言えると思います。買主が自己責任で対応しなければいけないでしょう。
荒井:
第三者の住宅検査ですね。
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○インタビューに回答する専門家 石神 昭二 (一級建築士) 住宅コンサルティングのアネストで住宅検査・診断を担当 住宅の設計・監理の経験が豊富で、今は住宅購入の相談、第三者の住宅検査・住宅診断(ホームインスペクション)を行っている。建売住宅の購入サポート(診断・検査など) |
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○インタビュアー 荒井 康矩 住宅コンサルティングのアネストの代表者 不動産会社で住宅売買の仕事に従事した後、住宅コンサルティング会社を創業し、数多くの住宅購入相談を実施している。 |