一級建築士 山本覚の住宅コラム
建築中の住宅の検査事例:筋交いの施工ミス
ある木造住宅を検査したときのお話です。木造軸組工法では筋かいはたいへん重要な構造部材です。ですから、検査に伺えば入念にチェックします。その筋かいが図面通りに設置されないなんて普通思わないですよね。でもあるのです!そんなまさかな事が。
工事現場には現場監督と呼ばれる現場管理者が常駐するのですが、建売住宅では常にいることはありません。週2〜3回、時間にすれば1回につき1時間程度だけいて他の現場に行くケースが多いです。これは一人の管理者が多くの現場を管理しているためです。
こうなると現場は自然と職人に委ねられます。私が見たケースでは現場の職人さんが持っていた図面と私が持っていた図面が違っていたことがありました。
私は確認申請時に提出した図面に書かれている筋かいの位置が分かる図面を持ち、職人さんはプレカット図(上記写真はイメージ)と呼ばれる構造図を持って施工しておりました。この図面にも筋かいの位置が書かれているのですが、私が持っている図面とは違っていたのです、位置が!
現場は図面通りに施工しているから間違っているなんて思わないですよね。そのプレカット図に従って施工していたのですが、その図面が間違っていたのです。このようなミスを無くすために現場管理者がいるのですが、最近の管理者は職人などの手配だけをする手配師になっていて現場をきちんと見ていません。
大手ハウスメーカーでも構造欠陥の問題がありましたが、これもこのようなことが一因になっていたのではないでしょうか。
山本覚 一級建築士 住宅の設計・監理、ホームインスペクション(住宅検査・住宅診断)を行っており、神奈川県を中心に首都圏で活躍している。 住宅検査・住宅診断のアネスト 山本覚建築設計事務所 |
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