住宅ローン特約(融資利用の特約)の注意点(2)
住宅ローン特約(融資利用の特約)に関する注意点を把握しておきましょう。この特約の内容をチェックするときには、「金融機関・融資額・融資承認までの期日・契約解除期日・否認された場合の手付金の返金」について明記されているかどうかが重要です。
この特約には、融資の否認後に買主が申し出ることによって解除できるパターンがあることを述べましたが、このパターンの場合の注意点として、「融資承認までの期日」と「契約解除期日」が同日になっていないかどうかも大事なチェックポイントです。
融資承認までの期日とは、いつまでに融資の承認を得なければならないという期限であり、契約解除期日とは、融資の承認を得られなかった場合にいつまでに契約を解除すると売主へ申し出なければならないかという期限です。
つまり、融資が否認されてから契約解除期日までに解除する旨を申し出なければ、この特約による解除ができないということになります。しかし、売買契約によっては「融資承認までの期日」と「契約解除期日」が同日になっていることがあり、否認の連絡を受けてから解除の申し出をすぐにできないと問題となりえます。
これらの期日の間に数日間のゆとりがあるかどうか注意しなければなりません。
次に、住宅ローンの仮審査(事前審査)と住宅ローン特約(融資利用の特約)の関係についての注意点です。
一般的な住宅購入の流れのなかで、売買契約前に住宅ローンの仮審査(事前審査)をすることをお伝えしておりますが、この仮審査に合格したから大丈夫だろうと考えて、売買契約の住宅ローン特約(融資利用の特約)をおろそかにしてはいけません。
仮審査の承認を得ても売買契約後に実施する本審査で否認される例もあるからです。本審査では仮審査のときに確認していなかった情報も含めて、仮審査よりも時間をかけて審査されます。油断せず、特約を確認しておきましょう。
そして、もっとも注意しておきたいのは、融資の承認を得たあとのことです。住宅ローンの本審査において承認を得てから、買主(借入人や保証人)の条件が変更になってしまうと融資が撤回されることが少なくありません。
この場合、買主の責任による融資の否認となり、住宅ローン特約(融資利用の特約)の適用が認められず、手付金が返金されないことが多いです。それどころか、時期やその他の条件によっては違約金の対象となって違約金の支払いを求められることもあります。
買主の責任となるケースは、たとえば転職です。転職によって年収があがったとしても、転職したこと自体、そして転職先での勤務年数が短いこともマイナス条件となってしまうからです。他にも代表的な例としては、他の借入の増額(車のローンやキャッシング等)や何らかの金銭の滞納があげられます。ちなみに、提出していた書類に偽造・虚偽があったときもそうです。
購入したい物件を絞って売買契約の時期が近づいてきましたら、ここに記載した住宅ローン特約(融資利用の特約)に関することには注意しておきましょう。
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