住宅ローンの繰り上げ返済の注意点:「定年までに完済!」とするためには?
質問:住宅ローンの返済期間で最も多く選択されるのは何年?
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回答:「最も多いといえば・・・やはり35年ぐらい?」
おそらく正解に近いと思います。近年の住宅ローン調査で返済期間の項目が見当たらないため正確にはわかりませんが、平成18年住宅ローンに関する顧客アンケート結果(住宅金融支援機構調べ)ではトップでした。
あと、普段の住宅ローン相談では多くの方が30代ですが、返済期間を35年で取り組もうしている傾向はあります。
でも・・・・35年という期間を考えてみて下さい。膨大な時間だと思ってしまいませんか?
35歳の方が住宅ローンを組む場合、これまで生きてきた期間で返済が始まるわけです。(0歳〜5歳は時間を過ごした感覚が無かったでしょう)
それでも35年返済について、こう思っていらっしゃるのではないでしょうか?
「35年での返済はまず考えていない。」
「繰上げ返済をどんどんやっていくから。」
「定年までには絶対完済!(退職金は充てない)」 等。
さて、本当にその通りに行くのでしょうか?具体的な目算はあるのでしょうか?事前にライフプランを立てるなど何か検証できていればOKですが、「本当に大丈夫かな?」という方が時々いらっしゃいます。
では「定年までに完済!」という目標を達成するために、どれぐらいの繰上げ返済パワーが必要なのか? 確認してみましょう。
たとえば、35歳の方にとっては、定年まであと25年あります(定年は60歳のところがまだ多いため)。35年→25年以内に短縮できる具体的な目安を知りたいですよね。
借入額3,000万円・長期固定金利2.5%・元利均等返済・ボーナス払い無しのケース
当初10年間で毎年○○万円の繰り上げ返済した場合での総返済期間です。
毎年30万円 → 約31年に短縮
毎年60万円 → 約27年に短縮
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毎年90万円 → 約23年に短縮
毎年120万円 → 約20年に短縮
上記の場合、最初10年間で毎年80万円ぐらいの繰り上げ返済によって25年以内になるという1つの目安がわかりました。80万円といえば毎月換算では約7万円の原資確保。しかも10年間コンスタントに行えるという前提です。
いかがでしょうか?
・ 返済に充分余裕がある年収である
・ 当面は年収が上がる予定である
・ 別途原資を確保している(保険や定期の満期等)
・ 生活費や教育費で大きな変化がない
・ 車や家電の購入など高額支出を予定していない
そういう方でないと達成できないように思えてきます。
定年まで返せるというのは、何かプランを立ててみて、そこで裏づけを取った上で判断すべきかなと思います。
「先のこと?どうなるかわからない。まあ何とかなるでしょ。」
開き直った理由こそが危険への入り口かもしれません。
人生で一番高い買い物は「住宅ローン」が実体なのです。後から見通しが甘かった・・・とならないように、しっかり掘り下げて諸々の判断をしていただきたいと思います。