疾病保障付住宅ローンは必要か?保険を考慮した住宅ローン選び
住宅ローンを組むときは、基本的に団体信用生命保険に加入します。団体信用生命保険とは、住宅ローンの申込者が死亡又は高度障害状態になった場合、ローン残高と同額の保険金がおりてローンが相殺される保険です。最近は、三大疾病保障保険付き(*1)又は七大疾病保障付き(*2)、さらにそれ以上の疾病保障付き商品も見かけますが、これらは本当に必要な保障なのでしょうか?
*1、三大疾病…がん・急性心筋梗塞・脳卒中
*2、七大疾病…上記+肝硬変・慢性腎不全・糖尿病・高血圧性疾患
1、保険料
無料で保障が増加するのであれば安心で良いのですが、保険であるため保障を厚くすると保険料が高くなります。例えば、がん保障だと金利に0.1%上乗せ・三大疾病だと0.2%上乗せ・七大疾病だと0.3%上乗せ等があります。実際の数字を使用して検証してみましょう。
3,000万円を長期固定2.3%35年返済でローンを組んだ場合
上乗せ保障なし (2.3%)・・・毎月返済額104,059円 総返済額43,705,069円
がん保障上乗せ (2.4%)・・・毎月返済額105,647円 総返済額44,371,886円
三大疾病保障上乗せ(2.5%)・・・毎月返済額107,248円 総返済額45,044,397円
七大疾病保障上乗せ(2.6%)・・・毎月返済額108,863円 総返済額45,722,567円
つまり、がん保障の保険料は約67万円、三大疾病保障の保険料は約134万円、七大疾病保障の保険料は約202万円になります。借入額が多くなるとますます負担感が増し、家計を圧迫することになりかねません。また、これらの保障上乗せをローン返済中に取り外せない金融機関もありますので、ローンを組むとき慎重に考えるようにしましょう。
2、保障内容
上記の保険料を支払ったわりには、保険でローン残高が相殺されるための条件が厳しくなっています。がんは、所定のがんと医師に診断確定されることが条件ですが、借入日から90日以内にがんになった場合や上皮内がんは対象外になります。
また、急性心筋梗塞・脳卒中は、急性心筋梗塞・脳卒中と診断され、60日以上所定の状態が継続したときが条件になります。60日以上の労働制限を満たすのは簡単ではありません。
さらに、七大疾病では、入院または医師の指示で自宅療養となり、いかなる仕事もまったくできない状態が条件になります。例えば、仕事を続けながら外来で治療をするような場合は対象外です。また、上記の条件を満たしている場合はローン返済相当額の保険金がおり、この状態が1年間継続するとローン残高がなくなる仕組みです。
3、その他の保険活用
疾病保障付住宅ローンは、万一のときに「こんなはずじゃなかった」と後悔することがないように、保険料と保障内容をしっかり把握した上で検討するようにしましょう。また、地方銀行の一部が取り扱っているがんだけを保障した「がん保障保険」や損害保険会社が扱っている「所得補償保険」も比較対象になりますので、是非検討材料の一つに加えてみましょう。
金融機関の金利競争は限界に近づいていますので、目新しい商品がでてきていますが本当に自分に必要な保障なのかどうかを考えてみることが必要ではないでしょうか?
(注)商品によって保障内容及び保険料は違う場合があります。
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