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FP 長谷剛史の住宅コラム

個人事業主の住宅ローン審査と注意点


 個人事業主の住宅ローン審査は、給与所得者に比べ厳しくなる傾向があります。なぜなら、給与所得者には雇用保険や労働保険など手厚い保障がありますが、個人事業主は個人での保険加入が必要ですし、安定性という点からも景気変動に影響を受ける個人事業主は給与所得者より不利になりやすいです。

 金融機関の審査では事業の健全性や安定性をチェックされますので、少なくとも過去3年分の確定申告書を提出する必要があります。給与所得者では年間給与の総額ですが、個人事業主では売上から経費を除いた所得で審査が行われます。

 ただし、所得と言っても「所得金額」ではなく、例えば、青色申告決算書の損益計算書で見ると「差引金額」が審査では使われます。専従者給与や青色申告特別控除という項目は、実際の支出を伴わないので省かれます。さらに、経費の中で減価償却費も実際の支払いは発生しないので、差引金額にプラスされることになります。

 ※専従者給与…生計を同一にする配偶者などに支払う給与
 ※青色申告特別控除…青色申告をする場合、所得税から最高65万円の控除を受けることができる。
 ※減価償却費…資産を使用期間にわたり費用とする手続き

 個人事業主の審査のポイントは、安定的に黒字を確保できているか、流行に左右される不安定な業種ではないか等です。また、過去3年間の平均所得で判断されますが、例えば、直前の所得が同じ500万円だったとして、600万円⇒550万円⇒500万円と右肩下がりよりは、400万円⇒450万円⇒500万円と右肩上がりのほうが印象は良いと思います。

 個人事業主の方が住宅ローンを組む前に検討すべき事項は以下になります。

  1. 所得の額を上げていく
  2. 頭金を多めに準備する
  3. 借入金を少なくする。

 個人事業主の方は、税金のことを考え所得を抑えがちですが、住宅ローンを組むということを考慮すると所得を上げる必要があります。そもそも所得が低すぎると住宅ローンが組めないという事態も考えられますのでご注意ください。

 所得や頭金の準備状況によっては、優遇金利がつかず店頭金利そのままで住宅ローンを組まないといけなかったり、店頭金利以上の金利を提示される場合もありますので、家づくりをしたいと検討し始めたら上記3つを意識して対策を立てる必要があるでしょう。勿論、住宅ローンだけではなくライフプラン=将来計画をしっかり立てることが大前提です。

長谷剛史
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