子育て世帯にとっては住宅資金贈与の位置づけかも?(続き)
前回は『教育資金の一括贈与』の制度についてお話をさせていただきました。子育て世帯にとっては、教育費の負担軽減が住宅購入へ背中を押すことになるのではないか?つまり、住宅資金贈与の側面もあるかもしれないということでした。
教育資金贈与は1人1500万円までということですから、お子様が2人いるご家庭ならば、3000万円まで贈与が出来ることになります。1人あたりに掛かる教育費で言われているのは、いわゆる小中高大の進路が公立か私立か、特に大学等については文系か理系か、2年・4年・6年か、自宅か下宿かによって、総額が1000万〜3000万の範囲で動くと言われています。このように家計にとって不確定要素が多いため、将来への不安は少なくないはずです。
それでも実際に利用されているご家庭をあまり見かけません。まだまだ認知がされていないのか、一般的な家庭にそこまで余裕や考えが及ばないのかハッキリわからないのですが、利用されているお客様へ使い勝手を伺ってみたところ、結構面倒なところがあるようです。また慎重な判断と注意が必要です。
慎重な判断の部分ですが「教育資金の一括贈与」は一旦始めると取り消しが出来ないこと、さらに口座開設は1つの金融機関しかできず変更も出来ないということです。
面倒な部分では信託された資金残高を定期的に管理しながら、次の使い道を考える、教育費の証拠となる書類(領収書等)の収集や管理が大変だそうです。最終的に使い残した額に贈与税が掛かってしまうことも気がかりなようです。
その中で最も注意しないといけない点は「支払った金額が対象となるかどうか」だそうです。実際にありそうな誤解など少しお伝えしておきます。
1.単に参考書や問題集を買った場合は対象とならない。
2.学校の指示で買った教科書代や模擬試験代などは対象となるが、一般的に業者へ支払われるために学校費用には含まれない。学校以外の費用には含まれる。
3.習い事での物品購入。たとえば、音楽教室に通うために楽器を購入しないと行けない場合、教室経由で購入する場合に対象となりますが、自分で楽器店にて購入した場合に対象とならない可能性があります。領収書等(発行元)によって非課税の範囲かどうかチェックされるからです。もしそれが○○○万円もするバイオリンだったとしたら・・・そんな想像をするとちょっと怖くなりますね。
4.学校以外の費用に関しての領収書では一定の形式が必要です。確定日付・金額・内容・支払い先名・支払い先の住所が網羅されていないといけません。整っていない場合、金融機関は信託された教育資金の払い出しになかなか応じてくれません。
それでも教育資金の一括贈与は大変助かるのかもしれません。ただ「暦年贈与(年間110万円迄)」や「直系尊属からの住宅資金贈与の特例(平成26年は500万円か1000万円迄)よりも規模が大きい上に長期間に及ぶものなので、しっかりと知識を持って教育費の想定・管理が必要なことがお分かりいただけると思います。制度を賢く効率良く利用されるためにも、税理士等など専門家へご確認いただくことをお勧めします。
最後に贈与の特例は来年以降に向けて改正がありそうな気配です。引き続き注目していきたいと思います。