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住宅ローン控除の還付金


 確定申告の季節がやってきました。
 ご存知のとおり住宅ローン控除(減税)の適用を受けるためには、初回は入居した年の翌年に確定申告を行う必要があります。給与所得者であれば2年目以降は勤務先にて年末調整を受けることができます。

 確定申告でも税金が返ってくるものを還付申告といいます。
 その場合は年始から申告が出来ますので、住宅ローン控除での税金還付が確実で手続き可能あれば、早めにしていただくことをお勧めします。申告から概ね1ヶ月程度で還付金が振り込まれます。ただし確定申告の期限に近づくほど混み合いますからご注意ください。

 還付金の振込先ですが、差し支えない限り住宅ローン返済口座にして頂くようアドバイスをしています。住宅ローンを組んでマイホーム購入される方へ支援の意味もありますから、利息負担軽減の意識を持っていただくことが大事です。

 そこでよくご相談を受けるのが「還付金をどうするか」という点。
 主に迷われるのが2つの選択肢です。

 (1)繰り上げ返済に回したほうが良いのか?
 (2)貯めておいたほうが良いのか?(住宅ローン控除終了後に繰り上げ)

 (2)を検討される理由で多いのが、住宅ローン年末残高×1% > 住宅ローン平均残高×適用金利(例えば0.8%)ならば、実質的に利息を補填してもらっているのだから、繰り上げ返済して残高を減らす必要が無いのでは?というものです。その意味はわかりますが、単年ではなく返済年数にかかる利息で見ることが肝心です。 あくまでもケースバイケースなのですが、(1)をしていただくアドバイスのほうが多いです。

 そのあたりを出来るだけわかりやすく解説してみます。
 平成25年において便宜的ですが事例を設定しました。
 ・一般の住宅ローン控除が適用
 ・住宅ローンの返済期間35年、返済金利0.8%(金利は変わらないとする)、元利均等返済
 ・1年目の年末ローン残高2000万円
 ・所得税+住民税から全て還付金が戻ってくる方
 ・繰り上げ返済は期間短縮型、手数料や最低金額は特に無し

 そうすると住宅ローン控除の1年目還付金は2000万円×1%=20万円になります。
 1年目の利息は大まかな金額ですが、2000万円×0.8%=16万円とします。
 20万円>16万円で利息は補填されています。
 その先を比べてみましょう。

(1)20万円を繰り上げ返済に回した場合
 残年数における利息軽減額は約5.2万円です。
 一方でローン残高は20万円少なくなるため、残り9回受けられる20万円部分の住宅ローン控除は減ってしまいます(20万円×1%×9回=1.8万円)。
 よって約5.2万円−1.8万円=約3.4万円

(2)20万円を貯めておく場合(預金金利はゼロ近辺)
 20万円は住宅ローン控除適用終了後(11年目)に繰り上げ返済に回すとします。
 残年数における利息軽減額は約3.9万円です。

 このケースでは約0.5万円の差ですが(2)のほうに軍配が上がります。
 同じ条件で返済金利を0.8%から1.0%に上げてみると、結果は(1)が約4.7万円、(2)が約5.0万円で約0.3万円の差に縮まります。

 そのあたりの差をどう見るかですね。
 貯めておいても良いのですが、金利上昇リスクを考えると繰り上げ返済しても良いになるかもしれません。2年目〜10年目の還付金も同じような試算を行って確認してみてください。

 実際には住宅ローン控除の要件と照らし合わせると個々のケースで結果が異なり複雑です。今回判断する上で1つ目安のようなものはお分かりいただけたかと思います。

 住宅ローン控除の還付金をどうするか?
 まとまったお金ですから他にもレジャーに使ったり、買い物をしたり、家計の赤字補填に回したり、家庭の事情によって使い道あるのが実態です。
FPの立場からは住宅ローンの特性を理解して是非有効に活用していただきたいと思います。

山下修一
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